地球温暖化の影響を肌で感じるようになった昨今、電力会社選びは非常に重要です。

目次

  1. 地球の平均気温は1.2℃上昇
  2. 私たちの行動が未来をつくる
  3. 発電方法の選び方でCO2排出量は変わる
  4. 100%再エネ発電の電力会社
  5. おすすめ電力会社

平気温は1.2℃上昇

今年4月に開かれた気候変動サミットで国連のグテーレス事務総長は、「我々は奈落に落ちる寸前にいる」という強い危機感を伴う言葉で現在の地球の状態を表しました。既に地球の平均気温は産業革命前に比べ1.2℃上昇しており、有効な温暖化対策を取らなければ今世紀末には2.6℃~4.8℃平均気温が上昇すると環境省も警鐘を鳴らしています。

1.2℃上昇しているとされている現在でも、明らかに台風は強力になり雨の降り方は局地化して、これまでになかったような暴風や雨量によって、毎年災害が発生しているのは皆さんもご存知の通りかと思います。温暖化対策を取らなければ、これらの災害が更に激甚化し安全に生活できる地域が無くなってしまうのではないかと思ってしまいます。

私たちの行動が未来をつくる

SDGsそのものとも言える、持続可能な開発のための2030アジェンダの中には、人類と地球の未来は我々の手の中にある。と言う言葉が出てきます。私はこの部分を読んだとき強い感銘を受けました。

私たち76億の地球市民一人一人が持続可能な社会のための行動を、今までがマイナスであったならゼロへ、そしてゼロから1へ向けて行動を始めるか否かに私たちと地球の未来はかかっている事はもはや確実と言っていいと思います。

発電方法の選びかたでCO2排出量は変わる

持続可能な社会への行動の1つとして今回は地球温暖化を取り上げていますが、そのもっともメジャーな方法として取り上げられるのはエネルギーを化石燃料から電気に変えるという方法です。しかしながら、発電時にCO2を排出してしまう発電方法で作られた電気を使うのではCO2排出するタイミングが少し変わるだけで、あまり効果はありません。

そればかりか、電気自動車に限っていえば今の日本の電源構成(約8割が化石燃料。全体の約3割がエネルギー効率の悪い石炭)では電気自動車を生産するときに排出するCO2がガソリン車の2倍以上に上るとのマツダ自動車などの試算もあります。これはバッテリーを生産する際に多くの電力を必要とする為で、発電方法を再生可能エネルギーによる方法に変えていかなければCO2削減はできないという事を示しています。

私たちにできる事は、より多くの人が持続可能なエネルギーによって発電された電気を使う事です。企業は需要のある方に投資を行っていきます。多くの人が再生可能エネルギーを求める事で電力会社の発電方法に対する考え方も変えていける可能性を持っています。

加えて、再生可能エネルギーは発電に燃料を使わないケースがほとんどのため最終的には安価に発電が可能になります。日経新聞の報道では、1世帯が4カ月間に使う1000㌔㍗時の電気をつくる場合、中国は太陽光(33㌦)、米国は風力(36㌦)が最安とされています。一方日本は日本で最も安い電源は石炭火力(74㌦)です。なぜこれほどの差がついているかと言いますと、送電網の運用は電力会社から独立しておらず、電力会社の自前の火力発電所や原子力発電所でつくった電力を優先的に接続している為です。

大手電力会社には様々なステークホルダーが関わっており、これまでの方針を変えていく事は容易い事では無いとおもいます。しかし、今や電気をどこから買うか選択権を持つ消費者が行動を起こさなければ、変化を期待する事はできません。

100%再エネ発電の電力会社を選ぶ

では、どのような電力会社を選ぶ事が気候変動をおさえる事や持続可能な社会を作っていく事につながるでしょうか。

2016年の電力自由化以降、電力小売り業者は大幅に増加し2020年10月時点で679社(経産省統計)に上ります。この中から電力会社を1社に絞るのは大変です。

そこで、当サイトではCO2削減や環境保護、料金設定などを加味した独自の基準で電力会社を選定いたしました。

電力会社選定基準

当サイトの電力会社選定基準は以下の通りです。

CO2削減効果が最も高い電力会社でありながら料金設定やサービスが利用者不利益を与えず満足のいくものであることを基準としています。

  • 発電所設置などによる環境破壊を行っていない
  • グリーン電力証明書など再エネ発電である根拠がホームページに明記されている
  • 電気料金がホームページに明記されており、市場連動型ではない事を明言している
  • 100%再エネ発電である
  • 電源構成をホームページ等で公開している

FITについて

これからご紹介する電力会社のホームページには、電力の電源構成が掲載されています。その中で「FIT」と言う名称が出てきますが、これは資源エネルギー庁が行っている固定価格買取制度を利用して発電された電気です。

FITは再生可能エネルギーで発電された電気を、国が一定価格で電力会社が買い取る事を一定期間認める制度で、再生可能エネルギー発電施設の初期費用負担を軽減し普及を促進するために設けられています。

FIT制度を発電する企業や個人が利用する為には、国の定める基準をクリアした太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスのいずれかの発電方法を用いる事が求められます。

FITの買取期間は太陽光、風力、水力、バイオマスが20年(太陽光の10kW未満は10年)地熱が15年となっています。これらの期間が終了した再生可能エネルギーで発電された電力はおおむね「再エネ発電」などと記載されています。

買取の為の費用は需要者(電気を使う人)の電気代に含まれる再エネ賦課金によって賄われています。再エネ賦課金はどんな電力プランを契約していても課されますので、電気需要者全体でFIT電力の運営や普及を後押ししている事になります。

また、FITによって発電された電気と化石燃料や原子力発電の電気は同じ送電線で混じって送電されますので、FITや再生可能エネルギー発電の電気だけを使うという事は事実上不可能で、FIT発電だけを銘打っている電力会社やプランに変更しても、その分の再エネ発電量が確実に増加し、化石燃料や原子力発電の発電量が減っていなければ、再エネ発電にシフトしている事にはなりません。

そこで、グリーン電力証明書などによって「この電力は再エネ発電によってつくられた」と証明する制度を設ける事で、需要が増えた分の電力が再エネ発電によって生み出されたことを証明し、確実に新たな需要分の再エネ発電がなされる仕組みが作られています。

グリーン電力証明と非化石証明について

○グリーン電力証明とは

グリーン電力証明は、日本におけるグリーン電力の普及拡大に貢献する事を目的に作られた制度で、一般社団法人日本品質保証機構によって発電設備や環境価値の認定や認証を受けた電力に対して証明書発行業者が発行するものです。証明書には発電施設の名称、所在地、発電方法、発電時期などが付随されます。

発行に際しては、重複販売の有無などを再度一般社団法人日本品質保証機構が確認し認証されます。従って新たに発行されるグリーン電力証明書は新たに発電された電気にのみ適用されます。この発行時の確認・認証によって需要に則した再エネ発電がおこなわれている事を担保する仕組みとなっています。

グリーン電力証明書の信頼性は高く、環境省や経産省、自治体の定める法令や条例などでも利用されており、再エネ電力の国際的イニシアティブ「RE100」(グリーナでんき社のRE100とは異なります)で自然エネルギー由来の電力である事を証明する制度として認められています。

グリーン電力証明書の運用は、発行された証明書を電力使用者が購入する事によってなされます。実際の電力は発電方法別に分けて送電されるものではありませんが、電力と共にグリーン電力証明書を購入する事によってその電力は再生可能エネルギーによって発電された電力であるとする事と考えて差し支えありません。

グリーン証明書購入の対価は再生可能エネルギー発電業者に支払われ、再生可能エネルギー発電の促進などに役立てられる事になります。

○非化石証明とは

一方非化石証明は、小売電気事業者の供給する電力の非化石比率を高める事を目的に作られた制度で、2020年からは原子力発電(再エネ指定無し証明)も対象に含まれました。また、発電施設の属性情報の付随が必須ではなく、どこの発電所でどのような非化石発電で発電された電気なのか分かりにくい側面があります。

属性情報が必須でない事が問題視され、国際的イニシアティブ「RE100」は非化石証明を自然エネルギー由来の電力とはみなさない方針を取っています。

これらの事から、当サイトではグリーン電気証明のみを再エネ発電を証明する制度として捕らえ、非化石証明書のみを再エネ発電電力である事の根拠としている電力会社はご紹介しない事といたします。

電気料金の価格変動について

これからご紹介する電力会社の内、東京電力などの大規模電力会社以外は日本卸電力取引所(JEPX)市場にて電気を調達しています。

JEPXでの取引価格は大きく変動する事があり、変動価格分を利用者に転嫁する電力会社も多く存在し、2020年末から2021年1月にかけても大きく値上がりし、月間の請求金額が10万円に迫るような事態も発生しています。

このような料金形態の場合、突然の高額請求が発生する事が今後も予想され電力会社変更によって当サイトをご覧になっている方々に不利益をもたらす可能性がございます。当サイトでは、大型電力会社もしくは市場価格変動分を利用者に転嫁しない事を明言している電力会社のみをご紹介する事といたします。

グリーナでんき 「RE100」

「グリーナでんき」のソーラーパネル
引用元:https://ne-greena.jp/index.html

グリーナでんきは2003年の創業以来、自然エネルギーの普及に力をいれてきた企業です。再生可能エネルギー発電とグリーン電力証明書を活用する事で、日本で初めて100%再生可能エネルギー発電による電力プラン「RE100」を実現した企業としても知られています。

電気料金に関しては、RE100では東京電力などの大手電力会社とほぼ同等です。料金が変わらないのであれば切り替えた方がいいですよね。契約時や解約時に追加で費用がかかる事もありません。詳しくはこちらのグリーナでんき料金シミュレーションからご確認ください。

また、RE100では申込時にどこ発電施設から電気を買うか(グリーン証明書を買うか)を選ぶ事ができます。大規模物流センターの屋上に設置された太陽光パネルでの発電や、市民の方々の出資によって設立された施設など様々な発電施設がある事を知る事もでき、迷ってしまいますが楽しい試みかと思います。

私がグリーナでんきをお勧めする理由は、その企業姿勢にもあります。ホームページからは持続可能な電力を追求する企業姿勢がひしひしと感じられますし、昨年末の電気卸料金高騰の際には他社で市場変動型プランを契約している方へ向けた相談窓口も設置されていました。しかもフリーダイヤルです。

私自身グリーナでんきRE100に切り替えて数年になりますが環境破壊につながるような開発を行っているというニュースを目にした事もありませんし、電気料金が上がった印象もありません。(東京電力管内)お勧めできる電力会社かと思います。

デメリットとしては、供給地域が東北電力・東京電力・中部電力・関西電力・中国電力・九州電力管内に限られる事です。今後の更なる拡大が待たれるところです。

グリーナでんきホームページ

(2021年10月27日 追記)
グリーナ電気では、再エネ発電の種類を選ぶ事ができますが、その中にはバイオマス発電も含まれています。しかし、バイオマス発電はWWFやFoE Japan、バイオマス産業社会ネットワークといった国内外の環境NGO団体から発電で発したCO2を回収できるまでに新たに植林した樹木が成長するには数十年を要するため、「カーボン・ニュートラルとは言えない」との警鐘が発せられています。現在、本件に関してグリーナでんき社の見解を問い合わせ中です。現時点としては発電方法を太陽光や風力などバイオマス発電とすることが良いかと思います。既にご契約済みでバイオマス発電を選択されている方は、グリーナでんきホームページのお問い合わせより発電方法を変更したい旨ご連絡いただければ変更可能です。

バイオマス発電を使用する事に関する、グリーナでんき社の回答が届き次第当ブログでお伝えいたします。

(2021年10月28日 追記)
環境省の定める日本のRE100電力の認定にはバイオマス発電も含まれておりますが、EUではバイオマス発電を再エネ発電とする事に懐疑的な報告書が2021年1月に出されました。この考え方は現在広がっており2021年10月28日付の日経新聞でも「バイオマス活用に暗雲 再生エネ認定、欧米で対象外も」として取り上げられています。一方グリーナでんきRE100プランでは受電者が発電方法を選ぶ事ができますが、選択肢にはバイオマス発電が含まれております。このような背景を踏まえ、当サイトではグリーナ株式会社(グリーナでんき)に本件に関し問い合わせを行いました。グリーナ株式会社の回答としては「バイオマス発電は再生可能エネルギーとして認められている」という趣旨の内容で、現時点では問題ないと捉えていると考えられます。

しかしながら、EUやNGO団体等の報告書を見る限り実質的には環境破壊及びCO2排出に悪影響を及ぼしている可能性が高く、これらを抑制するためにはバイオマス発電は行わない方が良いと当サイトでは考えます。誤解の無いようもうしあげさせていただきますと、グリーナでんきは上記で申し上げております通り非常に環境意識が高く顧客利益を重視する電力会社です。現時点では事業計画としてバイオマス発電を使用する前提に立っておられると思われますので、すぐに変更する事は難しい事も理解できます。

バイオマス発電に関しては10月31日に開催されるCOP26をはじめ国際的な場面で更に議論が尽くされていけば、環境省の方針も今後変わっていく可能性があります。利用者である私たちは、数少ないRE100認定電力を供給できる企業であり顧客利益を守る事を実践しているグリーナでんきを選択しつつ、発電方法はバイオマス発電以外を選択する事が現在の最適解であると考えます。

東京電力 「アクアエナジー100」

「東京電力」アクアエナジー100
引用元:https://www.tepco.co.jp/ep/eco/plan/private/index-j.html

東京電力には100%水力発電電源としたプランがあります。

東京電力のアクアエナジー100は完全に水力発電のみを銘打っているプランです。アクアエナジー100の契約者の方が使用する電力の総量を水力発電で得た電力が常に上回る事でそれを担保するという仕組みで、証明書等の発行を伴わない仕組みを構築しています。契約者の方が使用する電力増加すれば水力発電量も増やしていくという事となります。

料金に関しては、通常の契約に比べてかなり高めとなります。40Aのスタンダードプラントと比較した場合、月間基本料金で1,100円、月間200kWh使用した場合の電力量料金では264円割高となってしまいます。

東京電力管内であれば、グリーナでんきはじめ他の電力会社も利用可能ですので、一括受電マンションなどで制約がある方以外はそちらを検討された方がよろしいかもしれません。

東京電力HP「アクアエナジー100」ページ

当サイトの基準に合致する電力会社(プラン)はこの2つです。基準を厳しくし過ぎた感はありますが、SDGs推進と利用者の方の事を考えた場合は、これ以上基準を緩める事は出来ませんでした。

環境省によると日本のCO2排出量の約10%は家庭用電気に由来するとされています。是非皆さんもこの機会に電力会社の発電方法や企業姿勢に注目して電気をどこから買うか検討されてみてはいかがでしょうか。

当サイトは新規投稿プッシュ通知システム「Push7」をご利用いただけます。新着投稿通知を受け取られる方は下記のボタンをクリックしてください。(初めて「Pushu7」をご利用の方はこちらの「Push7利用方法」をご覧ください。)

Caretaker

 
管理人の顔のイラスト SDGs検定合格者証明ロゴ

 Takahiro
 Fujii

気候変動や海洋プラスチック問題に危機感を感じSDGsを知りました。

この度晴れてSDGs検定に合格できたので、このサイトを立ち上げる事といたしました。本業はシステムエンジニアです。

SDGsの内容や個人で取り組めるSDGSについて幅広くお伝えしていきたいと思っています。

//サムネイルを取得 //ここから構造化データの記述