SDGsを推進するために、私たちが選ぶべき銀行はこの銀行です。
目次
SDGsを推進する銀行を選ぶ
「今、最もSDGsなメガバンクはどの銀行? 最下位はまさかの・・ 1位は?」でご紹介したした通り、SDGsの推進には新たなイノベーションや社会構造の変革が必要なため、8000兆円(IEA)ともいわれる莫大な資金が必要になります。しかし、あまりに巨大であるため援助や寄付だけではカバーできる金額ではなく、ビジネス資金の流入が必須となってきます。そのため、銀行を始めとした投資資金の呼び込みが重要になってきます。
銀行の資金の元は私たちが預けた預金です。従いまして、私たちがSDGs推進のためにどのような投資姿勢の銀行に預金を預けるかは重要な要素となることになります。
前回の調査(「今、最もSDGsなメガバンクはどの銀行? 最下位はまさかの・・ 1位は?」)では、メガバンク3行のSDGsに対する投資姿勢は不十分、ともすれば逆行しているという検証結果となってしまいました。今回は、どの銀行に預金を預ける事がSDGsに逆行せず推進に寄与することになるのか、検証していきたいと思います。
SDGs銀行ランキング
前回の調査(「今、最もSDGsなメガバンクはどの銀行? 最下位はまさかの・・ 1位は?」)と同じ視点で全国で利用可能な、都市銀行、インターネット専業銀行の投資実績についてA+からC-の6段階で調査し上位銀行をご紹介いたします。調査ポイントと対象銀行は下記としています。来年以降の方針についてよりも、これまでの実績を重視する評価としています。
評価ポイント
- 2020年のグリーンファイナンスに対する実績
- 2011年から2018年7月の化石燃料産業に対する融資・引受実績
※グリーンファイナンス:ESG投資の1つ。再生可能エネルギー、エネルギー効率改善など気候変動の適応・緩和に資する事業への投資
対象銀行
- 都市銀行:りそなグループ
- インターネット専業銀行:PayPay銀行、セブン銀行、ソニー銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、イオン銀行、大和ネクスト銀行(大和証券グループ)
2位 PayPay銀行・楽天銀行・セブン銀行・ソニー銀行

https://www.rakuten-bank.co.jp/
https://www.sevenbank.co.jp/
https://sonybank.net/
評価:B-
第2位は同評価で4行が並ぶ結果となり、B-とさせていただきました。いずれの銀行もグリーンファイナンスの実施実績は確認できませんでしたが、化石燃料産業への融資・引受額のゼロであり3位以下の銀行はいずれも化石燃料産業への融資・引受額が確認できたためこの4行を同率の2位とさせていただきました。
一方で4行の統合報告書ではいずれもSDGsやサスティナビリティー、ESG投資に関する記述が非常に少なく、具体的な行動計画が示されている銀行はありませんでした。多くの資金を運用する銀行の社会的責任という観点から、グリーンファイナンス等に関する数値目標を設定し、サスティナビリティー社会構築に更に寄与していただきたいと願います。
○2020年のグリーンファイナンス実績 C-
4行のグリーンファイナンス実績は統合報告書やその他同行発表のプレスリリース、NGO団体等の報告書からは確認できませんでした。貸出先に個人の占める割合が大きいネット銀行の特性が影響している可能性が大きいと思われますが、ネット銀行の中でもグリーンファイナンスを実施している銀行はありますので、世界を良くするための技術や活動を積極的に支援することを期待したいところです。
○2011年から2018年の化石燃料産業に対する融資・引受実績 A+
国際的環境NGOの350.orgの調査報告書「民間金融機関の化石燃料及び原発関連企業への投融資状況」によると、PayPay銀行・楽天銀行・セブン銀行・ソニー銀行はいずれも化石燃料産業への融資・引受は行っておりません。化石燃料産業への融資に関しても企業融資の占める割合が小さいネット銀行の特性による影響が考えられますが、3位以下のネット銀行では化石燃料産業への融資・引受が確認されておりますので、評価できるポイントであり、最高評価といたしました。
1位 じぶん銀行

評価:A-
第1位はA-を獲得したじぶん銀行となりました。じぶん銀行は他のネット銀行を同じく化石燃料産業への融資・引受がゼロであるうえ、2020年8月にグリーンボンドの一つである「CBIプログラム認証付きサステナビリティボンド」の購入を実施しています。「CBIプログラム認証付きサステナビリティボンド」は国際的第三者機関であるDNVに環境改善効果が認められた鉄道・運輸機構の債権です。
※グリーンボンド:地球温暖化対策や再生可能エネルギー技術など、環境分野の技術・開発への取り組みに特化した債券。企業や自治体等で発行されます。
○2020年のグリーンファイナンス実績 A-
じぶん銀行のグリーンファイナンス実績はA-とさせていただきました。同行の 「CBIプログラム認証付きサステナビリティボンド」 への出資額は公表されていませんので出資規模を評価することはできませんでしたが、ネット銀行で唯一グリーンファイナンス実施を確認できた点を評価させていただき、A-といたしました。
○2011年から2018年の化石燃料産業に対する融資・引受実績 A+
「民間金融機関の化石燃料及び原発関連企業への投融資状況」によりますと、じぶん銀行の2011年から2018年の化石燃料産業への融資・引受額はゼロです。他のネット銀行と同様に貸出先の個人比率が高いことが影響していることが考えられますが、そのようなビジネスモデルであるにもかかわらずグリーンボンドの購入を実施しているという点で、他のネット銀行より一歩進んだ経営方針であると言えます。
まとめ
今回はSDGsと投資の関係から都市銀行とネット銀行のグリーンファイナンス実績を見てきました。上位にランキングされた銀行はネット銀行が占める結果となり、都市銀行であるりそなグループはESG投資は行っているものの、化石燃料産業への融資・引受もあるためランクインとはなりませんでした。
ネット銀行は個人顧客をメインとしており、化石燃料産業への融資・引受はそもそもターゲットとして考えられていないとも思われ、その点がランキングに優位に反映された側面があります。しかしながら、2位以下のネット銀行では化石燃料産業への融資・引受がなされており、ひとくくりにはできないという事が判明いたしました。その中でもじぶん銀行は銀行融資が社会に与える影響を自覚し、グリーンボンド購入を行っている点は評価できるポイントかと思います。
次回の記事では、地銀、信金を調査したいと思います。
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参考サイト
りそなホールディングス
https://www.resona-gr.co.jp/(参照 2021-09-07)
PayPay銀行(旧ジャパンネット銀行)
https://www.paypay-bank.co.jp/(参照 2021-09-07)
楽天銀行(旧イーバンク銀行)|ネットバンク
https://www.rakuten-bank.co.jp/(参照 2021-09-07)
セブン銀行
https://www.sevenbank.co.jp/(参照 2021-09-07)