街中やメディアなどでも目にする機会が増えてきたSDGsですが、「取り組みたいけど、何をすればいいのかわからない」という人は多いのではないでしょうか。
今回は、SDGsを正しく実践するためのポイントをご紹介します。
街中やメディアなどでも目にする機会が増えてきたSDGsですが、「取り組みたいけど、何をすればいいのかわからない」という人は多いのではないでしょうか。
今回は、SDGsを正しく実践するためのポイントをご紹介します。
目次
この記事では、正しいSDGsを選択するためのポイントをご紹介しています。なぜ「正しく選択する」必要があるのか。どんなところに注目して商品やサービスを選択すれば、私たちの未来を良くする事ができるのか。この点に焦点をあてた記事となっています。
SDGsが目指す未来とは
正しいSDGsを選択するためには、そもそもSDGsが何を(どんな未来を)目指しているのか知っておくことが大事です。まず最初にこの点について触れていきたいと思います。
SDGsには17の目標と169のターゲット(具体的な行動指針)があり、その領域は貧困・飢餓の撲滅から自由・平等・法の支配、地球温暖化対策まで多岐にわたります。
SDGsが目指す未来はその名の通り「持続可能な開発」、ひいては「持続可能な社会」です。「持続可能な開発」とは、 「将来の世代のニーズを充足する能力を損なうことなく、今日の世代のニーズをみたしうる開発」の事を言い、 1987年に国連の「環境と開発に関する世界委員会」によって定義されました。SDGsには「持続可能な社会」を実現するために解決すべき課題が17の目標として盛り込まれていますが、「17の目標を持続可能な方法で達成する事」によって得られる未来こそがSDGsが目指している未来です。
「持続可能な方法」とは、国連決議に照らせば「 将来の世代のニーズを充足する能力を損なうことなく、今日の世代のニーズをみたしうる方法」という事ができます。では、具体的にはどういった行動をとれば持続可能な方法をとっている事になるのでしょうか。実際に行動すると遭遇してしまうミスマッチの問題と、その解決方法をご紹介していきたいと思います。
SDGsのミスマッチ
私たちがSDGsを実践するもっとも身近な方法は、これまで使っていた持続可能ではない商品やサービスを持続可能なモノに変える事です。仕事でSDGsに関わっている方以外はこの方法が最も実施しやすいSDGsでしょう。
しかし、SDGsを銘打った商品やメディアでSDGsに貢献できる商品と言われているモノ全てが持続可能な社会の実現につながるかと言えば、残念ながらそうではありません。SDGsを実践しようとして選択した商品やサービスが、実は環境破壊や貧困の増加に拍車をかけてしまっているという事態が少なからず発生しています。例えば 電気自動車もその1例という事ができます。
電気自動車はその名の通り、エンジンの代わりにモーターを動力として走る自動車です。モーターはCO2を始めとした温室効果ガスを排出せず、ヨーロッパを始め世界中で電気自動車へのシフトが表明されています。日本でも2035年までにガソリン車の新車販売が禁止となる予定です。すべての自動車が電気自動車となれば走行による温室効果ガス排出は無くなりますので、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」に大いに寄与すると期待されています。メディアでも脱炭素の代表的な事例としてよく報道されています。
しかし、現時点で日本で電気自動車に乗る事は、実はSDGsに貢献しているとは言い難い側面があります。それは、日本の発電割合に占める化石燃料発電の割合が、約70%と非常に高い為です。

走行時に温室効果ガスを排出しなくとも、発電時に排出していては気候変動対策としてあまり効果はありません。極端な言い方をすれば温室効果ガスの排出タイミングが変わっただけです。更に電気自動車は、製造時に多くの電力を必要とするという問題もあります。巨大なバッテリーを製造しなくてはならず、その為に大量の電気を必要とするためです。バッテリー製造のための行き過ぎた鉱物資源掘削による環境破壊も問題となりつつあります。自動車メーカーのマツダやフォルクスワーゲンは製造国の電源構成によっては、電気自動車の方がトータルでCO2を多く輩出するとの試算を出しています。
このように、気候変動対策の要のように思われている電気自動車ですが、少し深掘りしてみると(現在の日本の電力構成では)必ずしもそうとは言えないという側面が見えて来ます。
こういったSDGsを意識して商品やサービスを選んだにもかかわらず、実は意味が無かったり逆行してしまう事例は、他の商品やサービスでも起こる事があります。
- エコバッグやマイボトルを使い、レジ袋や使い捨てコップを使わない
- 電力会社の切り替え
- 着なくなった服のリサイクル
これらの行動は多くの人が温暖化対策やリサイクル・リユースを意識して選択する行動ですが、いずれの行動にも多少の注意が必要です。エコバッグやマイボトルは生産時や運搬時に、レジ袋や使い捨てコップの何倍もの温室効果ガスを排出します。少なくとも数年以上使い続けなければ温暖化対策としてはマイナスです。
電力会社を再エネ発電を行っている電力会社に切り替える場合も、会社によっては世界的には再エネ発電と認められていない方法で発電されており、温室効果ガスが排出されている場合もあります。そればかりか、申込時に表示される電気代の安さにつられて契約してしまうと、変動価格制によって電力ひっ迫時に月間数十万円の電気代を請求されることにもなりかねません。(詳しくは当サイトの「電力会社を選ぶ事は未来を選ぶ事」をご参考ください)
着なくなった服のリサイクルでは、リサイクルとして回収された服の多くが、実は古着としてパキスタンやアフリカに輸出され、結局は捌ききれず膨大な量がそのまま埋め立てられているという問題もあります。
このように、せっかくSDGsに取り組もうとして行動をおこしたにもかかわらず、結果として温暖化や環境破壊を進めてしまう行動となってしまう事が、実に多くあります。最悪のミスマッチです。では、ミスマッチを防ぐにはどうするべきなのでしょうか?
SDGsのミスマッチを防ぐ3つのポイント
私は、SDGsに貢献できるとされる商品やサービスに出会ったとき、以下の4つを購入するか否かの判断ポイントとしています。
- 今使っている商品やサービスより環境に良いと自信をもって友人や同僚に勧める事ができるか
- 今使っている商品やサービスより人権に配慮していると自身をもって友人や同僚に勧める事ができるか
- 長く使える商品か
①と②は周りの人に勧める事ができるか、という視点でその商品やサービスの事を考えてみるというものです。友人や同僚に勧めると考えると、もし間違っていた場合相手に申し訳ないですし、こちらも気まずい思いをしてしまいます。勧めた人が更に別の人に勧めるかもしれないので「本当に大丈夫かな?」という思いで、その商品やサービスの環境負荷や製造過程(特に※フェアトレードであるかどうかなど)に自然と関心を持つ事ができます。
③は使い捨てになる商品を買わないためのポイントです。マイクロプラスチック問題やアパレル企業による人権を無視した開発途上国での生産体制など、現在の環境・人権問題の一部には使い捨ての文化が広まった事による側面があります。そのため私は自分が本当に欲しいと思う、何年でも使いたいと思う商品を買う事を心がけています。こういった商品やサービスは使い捨ての商品にくらべて高価ですが、長く使えるので結局はあまり変わりません。そして何より品質が高く自分が本当に欲しいと思った商品なので、持っていてもうれしいですし、生活が豊かになった気分にさせてくれます。
一番大切なのは行動する気持ち
先日読んだ環境ジャーナリスト竹田有里さんの記事に「1人の100歩より100人の1歩」という言葉がありました。SDGsは誰が実現するのかという事を、非常にうまく表現されている言葉だと思います。
SDGsは単なるトレンドやキャンペーンではなく、実施しなければ未来は間違いなく人間にとって好ましくない世界となってしまう、全人類に求められている課題です。
世界中の全ての人々が、マイバッグを使い続ける事や、洋服を買うブランドを変える事や、コーヒーショップにマイカップを持っていく事など、一人一人が1歩を踏み出せば80億人の1歩となり、未来は変わります。その一人になるという気持ちで取り組んでいただければ大変うれしく思います。
もしご自身で選択した行動が間違っていたら、気付いたときに変えればいいだけです。そんな気持ちで、あなたにあったSDGsを実践する際に、少しでもお役に立てていただければ幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。前回のブログでは「SDGsの本質」について書くと申していたのですが、本質を知る必要性は正しくSDGsを実践するためであるとの思いから、このようなタイトルとさせていただきました。次回は「これを実践するばSDGsに取り組んでいると言える」をテーマに書いていきたいと思います。なお、ブログ執筆にあたり参考とした資料は、下記「参考サイト」にリンクを掲載しております。
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